タルカゴの強度と補修

2010年07月08日

タルカゴの話題が続きますが

今日はタルカゴの耐久性と強度について

私なりの考えを話してみたいと思います

 

もともとウキというものは消耗度の高い道具だと私は考えています

ライントラブルによる流失

磯に当たって割れたり、塗装が剥げたり

過酷な磯釣りではその消耗度は激しいものです

 

そしてタルカゴ

これは木材をくり貫いてタル状にしたものですから

もともと割れやヒビが入りやすい構造なんです

むしろ何枚かの板を張り合わせて合板状にしたものの方が強度的にはよいものができそうです

 

また、木材は木目が入っていますので

ちょっとした衝撃で弾けるようにその木目に沿って割れる場合もあります

これは木材の特徴ですからある程度は仕方のないことなのです

 

そしてこの割れやヒビを抑えるために

なるべくタルを肉厚に仕上げたものが良質という認識が

販売店にも釣り人にも定着しているようです

確かに肉厚なものは重量もありますから遠投性にも優れていますね

 

しかし、木の特性やタルカゴの構造を考えると

ただ単に肉厚だから割れにくい

肉薄だから割れやすいというものではないようです

むしろこれは木材の部位や木目の入り方、塗装などによるところが大きいと考えています

 

G1タルカゴの製造元ではこういった木材の特徴をよく把握し(さすがプロです)

タル状にしたときの品質管理を徹底しているようです

少しでも木目が悪いものは製品にせずにはねていると聞いています

 

それでもタルカゴは割れます、壊れます

 

そうです

タルカゴは割れるものなんです

 

私の場合は

まず、新品のタルカゴの胴の中央部分に

彫刻刃の角刃でぐるりーっと溝を掘ります

ここに細い針金を巻いて瞬間接着剤で固定し補強しています

さらにその上から塗料でコーティングすれば完璧です

 

そこまでは無理という人は

塩ビ系のテープをきつく一巻きしておいてもぜんぜん違います

これはぜひやってみていただきたいと思います

以上のことでかなり補強できます

やるとやらないのとではぜんぜん違います

 

しかーし

そこまでやっても割れるのがタルカゴです

 

これからが重要なんです

上記の補強は実は割れたときを想定したものなんです

破損を最小限に食い止めることと

割れた部品が散らばらずに回収できるところがキモなんです

 

私は、このようにバラバラになってしまったタルカゴを回収し

修理してタルカゴの改良を手がけました

そして試作段階のさまざまな形のドクロが完成したのです

 

一度割れたものを木製対応の瞬間接着剤で接着し

上記に紹介した補強を施し

何層にも塗装を重ねてよみがえさせるのです

 

これが強いんですわー

衝撃を吸収し、一度割れたところから力が抜けるんですよねー

だから新品のように弾けるような割れ方はまずしません

 

ドクロのように一部を薄く仕上げていても大丈夫なんです

 

さて、市販品のG1タルカゴも

より高感度を求めるために

松江市の天狗堂納品分だけは特別にタルを薄く仕上げたものを販売しています

 

これに先ほど紹介したような補強を施し、まず使っていただき

たとえ割れても捨てずに持ち帰って

修理して使ってみましょう

流失しない限りはかなり使えます

こう考えると多少手間はかかりますが

価格的にも決して高いものではないと思います

 

こんなことを言ってしまうと

販売店さんでは次々に商品が売れずに苦情が来そうですが

私はあくまでも一釣り人ですから

釣り人の立場で実践していることを紹介させていただきました

 

また、特に縁あって私が自作したドクロを手にされ

万が一、破損した場合は天狗堂さんに預けておいてください

可能な限りは修理してみます

 

それだけドクロは丹精込めて仕上げていますので愛着があるんです

長らく使ってたくさん釣っていただきたい

 

私の過去の経験から

修理すればするほどよくなっていくものなんですよ

見た目はよくないですけどね

 

竹下ウキから作者の竹下氏の釣りに対する思いが伝わってくるように

手作りタックルの良さというものは

本来、その品物そのものよりも

人の心や気持ちが

そこにあらわれるところにあるのかもしれませんねー