秋磯本番グレ釣りトーナメントに挑戦してみよう
トーナメントで自分の実力を量ろう
は
鈴虫の音色が響いてくる。
暑いだの寒いだの私たち人間の身勝手なほざきをよそに、
時がたてば自然は確実に次の季節をもたらしてくれる。
「自然はすばらしいなあー、感謝、感謝」。
さあ、そろそろ私も潮の香りが恋しくなってきた。
大会エントリーして日々の生活に目標を
私の秋の釣行パターンはグレ釣りトーナメントへの参戦が主となる。
大会が開催される会場によっては、 6月や7月に開催される場合もあるが、
メーカーなどが主催するビッグトーナメントのほとんどは
この秋の好シーズンを利用して開催されている。
トーナメントの魅力は、なんといってもそれに参加することで得られる
自分自身の心の緊張感だと私は思っている。
そう、やっぱりここでも「少年の心になれる」ところに最大の魅力があるのだ。
みなさんもどうだろう、子どもの頃いろいろなことを体験しながら
「ワクワク、ドキドキ」したときのことを思い出すことはないだろうか。
しかしそれが就職し、やがて家庭を持ち一般の社会人になったとき、
日々の暮らしの中でどれだけ緊張感を持ってワクワク、ドキドキするときを得られるだろうか。
趣味に釣りを持つだけでもそれを満たすには十分なのだろうが、
楽しみだけの枠を少し飛び出して、
あえて一定のルールの中で繰り広げられる勝負の世界に
飛び込んでみるのもよかろう。
ただでもその釣味がスリリングで磯釣り師たちを魅了し続けるグレ釣りにあって、
さらにポイント、時間、仕掛け、エサ、魚のサイズや数量などを競技化し、
他の釣り師たちと勝敗を競うのであるから、
私の負けず嫌いな性格も手伝ってワクワク、ドキドキしないわけがない。
そしてたかがサラリーマンのサンディー釣り師が
夢舞台となるファイナルゲームの全国大会では、
年間釣行200日以上と言った猛者や名人たちと一戦交えることも
夢ではないのだから日々の取り組みも楽しい。
釣りに行けないときは、この夢舞台をイメージしながらタックルや仕掛けの研究、
又は釣友たちとの情報交換と大好きな釣りを通して
日々の生活の中にこのような遊び心を持てることは、本当に幸せなことなのだ。
「出たい」と思う気持ちがあなたの「素質」だ
釣りトーナメントのイメージは、
高い釣り技術を持ったものたちがしのぎを削る場
であるというイメージを持つ人も多いだろうが決してそうではない。
確かに相手の釣り師に勝つことを目的とし、
全国制覇することが最大の目標ではあるが
この目標を達成するために個々が取り組む課程、
プロセスが最も大切なのだ。
だから何かをきっかけにまずは興味を持ち
「自分も出てみたい」と思うことがその人の素質であり、
そうであれば今すぐ、今年からでも参加してみることをおすすめする。
「まだ自分はそんなに経験もなくて・・・」とか「こんなへたくそが出たってどうせ負けるだけ・・・」、
「恥をかくだけ・・・」と思っている人も多いが、「出たい」と言う気持ちを大切にしたい。
早ければ早いほどよい。
参加してみて自分に合わないと思えばやめればいいわけで、
その後の普段の釣りに何ら影響するものではないし、
もし自分の価値観にあてはまれば、
そこには新しい釣りの世界が広がり新しい目標が出来て楽しい。
申し込みは近くの釣具店から
さて釣りトーナメントに参加する方法だが、
大手釣り具メーカーが主催する大会のほとんどは、
全国を地区ブロックに分けて予選大会を開催しているので、
まずはこの地区予選大会に出場することから始まる。
山陰地方は中国地区内で予選が行われる。
これらの大会は販売契約を結んでいる小売店に資料が配付されているはずなので、
近くの釣具店などに問い合わせれば大会の日程や申込方法を教えてくれる。
小売店によっては、トーナメント参加に積極的ではない場合もあるので
申し込みなどの手続きをしてくれるかどうかの確認も必要である。
具体的には私が10年来連続で出場している
「株式会社がまかつ」が主催する「G杯」を例にとって説明してみよう。
G杯グレの中国予選は昨今のトーナメントブームで参加者が増えたことから、
現在では3会場に分けて開催されている。
中国5県内に居住している者はこの内1年、1会場のみの参加が認められている。
3会場の内、山口県徳山会場は6月にすでに開催されているので、
これから参加する場合は10月10日(水)の宇和島市日振島会場か、
10月15日(月)の山口県青海島会場のいずれかに出場することになる。
釣具店に備え付けの申込用紙に必要事項を記入し参加料を添えて申し込む。
各会場とも定員があり定員になり次第締め切るので
募集開始時期を逃さないように注意したい。
申し込みが受理され参加が認められるとメーカーから
参加証と大会要領が申し込んだ釣具店を通して配布される。
イメージフィッシングの材料収集が重要
配布された要項の内容をよく読んで大会当日に向けてのイメージづくりが始まる。
時間と経費が許せばぜひ下見しておくことをおすすめする。
集合場所、集合時間を確認した上で大会当日をイメージしながら現地へ向かう。
大会会場となる現地までの交通事情などはよく調べておく必要がある。
利用する渡船も事前に問い合わせ確認しておいて大会に使用する渡船を使うとよい。
ここで確認しておくことは
・現地までの地理と交通事情
・港や渡船の規模
・海(ポイント)の形状や雰囲気
・潮の干満や流れ
・釣れるグレのサイズや数量
・エサとりの種類と数量
・各種付け餌、捲き餌の使用状況
などである。
試し釣りは1日中だらだら釣るのではなく、
大会当日の1回戦から3回戦の時間帯に区切って釣ってみる。
可能ならば磯替わりを申し出てなるべくたくさんのポイントを釣ってみることも必要である。
ここで注意したいのは海の状況や試し釣りした状況は
あくまでも参考程度にとどめておくことだ。
何せ自然相手のことなので大会本番では状況が大きく変わることも考えられるので、
固定観念にとらわれて視野を狭めないように心がけている。
私が一番重要視していることは磯を含めた現地の雰囲気を
しっかり頭の中にインプットすることである。
これら下見で得た情報を材料に、
大会当日までの期間にありとあらゆる釣りイメージを展開しながら、
道具や仕掛けを徐々に準備していくようにしている。
週に1回、釣行できるか出来ないかの状況の中で、
私はイメージフィッシングを非常に大切にしている。
空想の世界ではあるが
ここでどれだけ想像力を豊かに発揮できるかどうかが鍵になる。
下見や試し釣りは、このイメージ作りのためのよい材料収集であるわけだ。
普段の釣りに目標が出来、締まった内容に
G杯は使用ロッドとハリを「がまかつ製品」に限定している。
釣法はウキを使ったふかせ釣りのみ。
ミャク釣りやサビキ、カゴ釣りは禁止されている。
道具類や仕掛けで心がける点は
1試合2時間という限られた時間をいかに有効にリズムよく展開できるかだ。
当然普段から使い慣れたタックルを使用することになるわけだが、
トーナメント出場をきっかけに1時間単位の釣りイメージを持つことも大切だ。
1時間というのはハーフタイムで対戦相手と場所を入れ替わることを想定してのものである。
トーナメントを志すと普段の釣りも目標が出来て締まった内容になるものだ。
私のここ10年間の経験を基にいえることは、
回数を重ねるごとに余分なものが削られてきて
どんどんシンプルになってきていることだ。
最初はあれやこれやたくさんのものを使い試してみるのも必要だが、
経験の中で何をどのように使いこなすのが自分にベストマッチしているのか、
早く探し当てた人こそよい実績が得られているように思う。
私のグレ釣トーナメントでの基本的な仕掛けは図のとおりである。
基本的なもの以外は何も付いていないのがお分かりになるだろう。
状況次第でウキのローテーション、ウキ止め、ガン玉を追加する。
大きなトラブルがない限り、又はハリを結び替える以外は
仕掛けにハサミを入れることはない。
捲き餌は3回戦分を事前に準備
G杯予選は2人ないし3人1組が2時間1回戦を戦い、
トーナメント3回戦を勝ち抜いた者が中国地区の決勝大会に駒を進めるシステムだ。
抽選によって対戦相手、乗船する渡船やポイントが決まっていく。
抽選は1回戦毎に行う。
捲き餌の量は40センチのバッカンに使用する付けエサも含めて
フタが出来て収まる範囲内と制限されている。
私の場合バッカンに仕切りボックスを入れて2種類の捲き餌を用意している。
半分はオキアミと配合餌を混ぜ合わせたもの。
もう半分はオキアミの粒のままを海水で浸したものを準備する。
そうすることであらゆる自然条件や餌とり対策に対応している。
配合餌はマルキューのグレパワースペシャル遠投フカセ1袋、
イワシパワーグレ遠投1袋に地アミ3キロと半解凍のオキアミ生3キロを
スライスして混ぜ合わせる。
もう一方はオキアミのみだが、餌とりが多いようならボイルと生と半々に用意する。
合計3キロから4キロほどあればよいだろう。
付けエサにはオキアミの生、ボイルの他に
マルキューのくわせオキアミスパーハードやスパー生、練り餌を用意する。
捲き餌は大会前夜に3回戦分を作って1回戦毎にビニール袋に分けて会場に持ち込む。
1回戦毎のタイムスケジュールは大変慌ただしく、
次の仕掛けのチェックなども考えると事前に準備しておいた方がよい。
負けたことを考えると大きな無駄になるように思うが、
時間が無くいい加減な撒き餌によって悔いを残さないためと、
次の行動に余裕を持つこともトーナメントでは大切なことである。
今年のG杯予選からグレの規定サイズと審査方法が25センチ以上の総重量となった。
グレをキープしておくには、スーパーコモクールにエアーポンプを装備して
釣ったグレを生かしておくように工夫している。
死後硬直したグレはほんのわずかでも縮むので
規定サイズぎりぎりのグレを対象にするためにも
トーナメントには必需品と言ってもよい。
その他トーナメントに必要な装備品の一覧を別表や
写真で紹介しているので参考にしていただきたい。
究極の目標とは
よく誤解されるのはトーナメントの釣が高等で、
逆にそうでない釣を馬鹿にしているようにとらわれがちだが、
決してそういうわけではない。
仮にそういう考えの人がいたら、それはもってのほかである。
究極の目標は楽しい大好きな釣を通して人生をより豊かで
充実したもににするためなのだから、人それぞれにいろいろな取り組み方があっていい。
すなわち、全国制覇するというとてつもない大きな夢のさらなる目標は、
人生を豊かで充実したいという願いがある。
私たちはその一つの過程としてトーナメントを位置づけている。
興味のない人はさておいて、
興味があっても尻込みしている人があれば、
まずは挑戦してみよう。
そこには新しい釣りの世界が必ずあるはずだ
残暑厳しい今年の夏もいよいよ終わりを告げ、
釣りの好シーズンとなる実りの秋に移りかわる。
まだまだ外は炎天下の日が続いているが、
だれが持ち込んだのだろうか職場の片隅におかれた虫かごから