ここは魚のオアシスだ。
鳥取県赤崎町東沖防波堤
暑い暑い夏が過ぎて涼しい秋風が心地いい。この秋風に乗って釣果も上向いてくることを期待したいものだが、9月に入るとせっかくの週末が台風の接近や低気圧の停滞で思うように磯に出られなかった。そんな中で少々磯が時化ていても安全で安心して竿が出せる防波堤で思わぬ釣果を得た。
9月17日、鳥取県赤碕町へ釣行する機会を得た。このきっかけを作ってくれたのは、鳥取フィールドチャレンジャーという東伯郡を中心とした釣りクラブのメンバーに誘われてのもの。この日は、私が所属するG1トーナメントクラブのメンバーとフィールドチャレンジャーとの親ぼくを兼ねた釣り大会が企画された。
午前3時、赤崎漁港近くのフィッシング大平に到着すると、すでにたくさんの地元のメンバーが集まっていた。お互いに簡単なあいさつを交わして大会のルール説明、ポイントの抽選が行われた。この日参加したのは総勢25人。抽選の結果「東沖防」と「西沖防」とに別れて午前5時頃から釣りを開始した。
私は抽選で東の9番を引き、東沖防の船付け階段のすぐ沖がポイントとなった。この大会の審査は、グレ、チヌ25センチ以上の総重量となっているが、私は時期的に考えてもチヌ狙い一本に絞って撒き餌、仕掛けをセットした。
撒きエサは半日分の量として、オキアミ生6キロ、配合エサにマルキューのチヌパワームギ1袋、オカラだんご2袋、ムギコーン2袋を用意した。この撒きエサの特長は比重を重たくしたところにある。特にムギコーンを加えることによって、捨て石の沖の深みに潜むチヌをおびき寄せるイメージがある。それと防波堤の釣りでは横並びにたくさんの釣り人が竿を出すことから、自分のエリアが限られてしまうので、早くタナまで到達する撒きエサが必要になると考えている。また防波堤にはさまざまな種類の餌取りがいるので、粗めのムギコーンはことのほか効果を発揮してくれる。付け餌には、オキアミ生、ボイル、サナギ、マルキューのくわせオキアミ・スーパーハードL、くわせ練り餌・チヌを用意した。ちなみにこの日優勝した安部さんは、スーパーハードオンリー。最長寸を釣った小倉さんはくわせ練り餌だった。
私の仕掛けは、この撒きエサの比重にあわせたイメージで設定するので、思い切ったガン玉使いで遊動部分を一気に落とし込む図のような仕掛けをセットした。特に私が上がった東沖防は非常に潮通しがよいので、付け餌の安定もイメージしながらハリ上すぐに口鉛をつけるなど、潮の速さ、風向き、餌取りの種類など状況に応じてガン玉の位置をこまめに変えながら釣り込むことが大切である。さらにこのような状況では、管付きウキが持つ特徴を最大限に発揮できると言ってもよい。管付きウキならウキと道糸の接点が海中に入り込んでいるので、釣り座が高いことから生ずる道糸に受ける風の影響などを最小限にくい止め、横潮、横風でも道糸をふかしたままウキに任せるようにして流し込むことが可能だ。また、遊動部分が早くなじむこともメリットの一つだ。
このような場合、仕掛けがウキよりも先行して流れているかどうかよりも付け餌を自分が狙ったピンポイントになるべく長らく存在させることが大切なのだ。時々あるのは、セオリーや基本にあまりにも忠実にこだわり過ぎて、道糸修正をかけすぎたり、仕掛けの張りが強すぎて肝心の付け餌がイメージしたタナに届いていなかったりする釣り人を見かけることがある。自分が設定した仕掛けが自然条件とうまくマッチしていなかったり、マッチしていてもうまく使いこなしていないのだ。たかがウキ一つといえども、それが持つ特徴を十分認識した上で正しく使いこなすことが釣果アップの秘訣だろうと思う。例えば私の図の仕掛けでは、6Bの竹下ウキに2B2個とB1個をセットしてウキ下を6ヒロとった。もし私が市販の円錐ウキでこの日同じような状況を釣りこなそうと思えば、1号以上の浮力のある円錐ウキを使い、ウキのすぐ下に1号鉛か1号の水中ウキをセットし、さらにハリスにBのガン玉を2段打ちする。ウキと道糸の接点が海面にあることによる余分な糸フケは、管付きウキよりも強い仕掛けの張りと道糸修正で取り除かなければならない。このように、ある条件の中で違う特長を持った道具を使い、同じような結果を出そうとする場合の一つの例に過ぎないが、ウキが管付きウキか円錐ウキかでこれほどまでに仕掛け設定や釣り方が変わってくるということである。釣りというのは肉眼で見える範囲のことだけではなく、海底の見えない部分をいかにイメージして想像するかが難しく、そこがまたおもしろいとこでもある。私の仕掛け例がベストだとは思わないが、一例の参考として各自の釣りイメージに取り入れてほしい。
さて当日の状況は、潮が西から東方向にかなり速く流れていた。沖向きに釣り座をかまえて左から右へ流れているということ。両サイド5メートル間隔でほかの釣り人がいる。風は10時頃まで南から南東。やがて10時が過ぎると西風が強くなった。自分の仕掛けが流せる範囲は約10メートルから15メートル。足下から沖約10メートルまでは捨て石やコンクリート枠が埋め込んであり、肉眼でも確認できる。その先が駆け上がり状態となり深く落ち込んでいるのが海の色からうかがえる。この深みのカケアガリがチヌのヒットポイントと読んで間違いないだろう。この状況でチヌを釣るために私がイメージしたのが前述の仕掛け設定である。ウキ下6ヒロ。まずは自分の釣り座からどこのエリアをチヌのヒットポイントに設定するかを決める。(図を参照)ここから逆算して仕掛けのセッティング、仕掛けの投入点、仕掛けがなじむスピードと仕掛けの戻りをイメージする。次に撒き餌。道糸の付いている仕掛けと違って、撒きエサはフリーに流れていくのでこのように横潮が速い場合は、仕掛け投入点からかなり離れた位置に撒きエサを投入しなければならない。場合によっては横並びに釣っている他の釣り人の前方まで撒きエサを飛ばさなくてはならない場合もあるが、同じ仲間同志なら事前に声をかけておけばお互いの釣りイメージが作れるはずだ。ここで注意しなければならないのは、目まぐるしく変わる海の状況を読むことだ。防波堤では磯以上に潮の流れが目まぐるしく変わる。1投1投、左右に逆の流れをすることもしばしばなので、仕掛け投入前には、まわりの釣り人のウキの流れやゴミ、海藻の流れをよく観察して仕掛け、撒きエサの投入点を決めなければならない。ここでは海の状況まで克明に表現できないが、この日私が40センチ級を釣り上げたときの釣りイメージが図に示してあるので一つの例として参考にしていただきたい。このチヌは釣行から帰って腹を割ってみると、私が配合したムギコーンの一種が胃袋から確認されて、私の釣りイメージが間違っていなかったことを裏付けた。私は釣ったほとんどの魚を自分でさばいているが、次の釣果につなげる意味においてもどんな餌を食べているのか確認することは大切なこと。この裏付けが2度の満足感を味あわせてくれる。
さて気になる全体釣果であるが、東沖防波堤は45センチ級のチヌラッシュに湧いた。ここでは46センチ~35センチのチヌ13匹の釣果。このうち40センチオーバーが10匹と、防波堤でこのクラスのチヌの数釣りには正直言って驚いた。チヌの魚影が非常に濃い。本紙の取材にもあったようにエビ撒き釣りのスズキ釣り。時にはマダイやヒラマサ、グレの魚影も確認されていると言うから、これから初冬にかけても非常に楽しみな釣り場だ。全体が砂丘の海岸線にあって、防波堤は魚たちの絶好の住家でありいこいの場所なのである。ここはまさに魚たちのオアシスだ。
釣り大会に協賛していただきありがとうございました
HIT LINE(東伯郡江北さくら団地)
津村釣具店(東伯郡東郷町)
フィッシング大平(東伯郡赤碕町)
天狗堂(松江市)
マルキュー(株)
渡船案内
フィッシング大平 料金 1人760円
TEL 0858-55-0006
餌は事前に予約しておけば適度なかたさに解凍しておいてくれる。
オキアミ生3キロ780円は付け餌にも使える良品。