小島一文の
“G1フィッシング”

G1フィッシング

日本海がダメなら瀬戸内海があるさ

~ 山口県大島郡のチヌ釣り ~

時化男は誰だ

 5月17日、この日は隠岐島前にチャーターで日帰り釣行を計画していたのだが、低気圧の通過に伴い西よりの風が強く波は3mの予報。おまけに波浪注意報が出たため前日に船長と相談して計画を中止した。同じような設定で5月2日にも計画していたのに、この日も同じような予報で中止になった。2日は私のクラブと私の釣友のクラブとの交流釣り大会。17日は、G杯などで面識が出来た岡山に住む釣友のクラブが大会をするということで案内役で計画していた。時化男はどうやら私のようである。
 それにしても隠岐釣行も手軽になったものだ。隠岐といえば2日連休でないと釣行出来ないものと思っていたが、渡船の高速化、大型化に伴ってチャーター船が就航するようになって日帰り釣行も可能になった。時間を調整しておけば朝マズメから竿が出せる。天候が許せば、午後3時か4時まで竿出しが出来る。チヌのノッコミ時期ならこの日程で十分釣果があげられるだろう。

ノッコミ終盤、山陰がだめなら山陽へ

 さて、前述の5月17日は、隠岐が中止ということで急きょ逆に私たちが山陽方面に出かけることにした。しかし前日の予定変更、しかも日曜日なので今から渡船の予約が出来るかどうか心配だ。こんな時頼りになるのが各地にいる釣友たちだ。早速交流のある広島県の大知さんに連絡を取ってみる。するとこの日は大知さん率いるチームアクアが大会をするから一緒に出ないかとOKの返事をもらった。便乗組3人を引き連れて深夜の高速を走らせた。

 大会場所は山口県大島郡屋代島周辺の磯だ。瀬戸内海に浮かぶ大きな島だが、本土とは橋で陸続きになっている。私たちはもちろん始めての場所だ。この日はホスト役に大知兄弟の弟、大知豊さんが参加されている。豊さんはG杯チヌ優勝、報知グレ釣り選手権名人位などその他にもたくさんのタイトルを持つ中国地方を代表する名手である。チームアクアのメンバーは、この大知兄弟の技術を学ぶと共に二人の人柄をしたって集まった人たちなのだ。発足してまだ3年足らずなのに山陽方面を中心に300人以上の会員がいる。私も大知兄弟と親交させていただいていることから発足当初から所属させていただいている。
 この日の参加は36人。大知さんのアドバイスを受けて各ポイントに散った。私は一緒に来た飯塚宏之君(出雲市)と頭島のポイントにあがった。やはり私たちがホームグラウンドにしている島根半島や隠岐の磯とはずいぶんイメージが違う。のっぺりとした白っぽい岩肌の磯。足場から20メートルから30メートルくらいだらだらと浅く藻が多い。干満の差も2メートルくらいあるので、満潮と干潮では攻めるポイントがまったく違ってくる。G杯チヌの中国予選は瀬戸内海が会場になるので絶好の練習の場になる。

干潮時は遠くを深く釣れ

 釣りはじめは干潮時だ。セオリー通り遠目の深目をイメージしてウキ下3ヒロの仕掛けを約30メートル付近に遠投した。撒き餌は遠投を意識して配合してあるが、前日に雨が降ったことによる水温の低下、釣りはじめは干潮時であることを意識して、瀬戸内にはやや重めの比重にしておいた。つまり棚をやや深めに設定するということだ。私の撒き餌はオキアミ3キロにマルキューのオカラだんご1、チヌパワームギ1を配合した。
 1投目に50センチ近くはあろうかというサバが食いついてきて驚いたが、約20分後、狙い通りチヌが食いついてきた。型は35センチとやや小振りだが浅瀬で食いつくチヌの引きは小気味いい。すぐに2匹目の同型が食いついてきた。その後、潮が行ったり来たり、止まったり定まらない。撒き餌と付け餌の同調を心がけるが、チヌのアタリは遠のいた。 午前10時、潮が満ち潮に変わりどんどん満ちてきて、釣り座を少し移動することにした。潮が見る見る満ちてくるので、足場は後ろへ後ろへ後退しなければならない。

満潮時は手前を浅く釣れ

 このとき撒き餌を作り直した。潮が満ちて満潮時を釣ること、晴天であるこの日、水温が上がってきていることを想定して、今度は比重の軽い撒き餌を作る。オキアミ3キロにスーパー磯チヌを3袋配合した。この配合餌は比重が軽く遠投が利く。仕掛けはウキ下1ヒロに設定して藻の際を狙う。干潮時にはこの藻が海面に横たわっていたが、潮が満ちてきたことによってこの藻の付近が絶好のポイントとなる。昼過ぎになると潮が動き出した。またも狙い通り。浅い棚設定の仕掛けに次々チヌが食いついてきた。取り込みは藻の近くを釣るので藻に突っ込まれやすいが慌てることはない。少し緩めて待っているとチヌの方から引っ張って藻から抜けてくれる。決して強く引っ張りすぎて魚を弱らせ過ぎないことである。チヌに少し余力を残しておいてチヌの方に引っ張らせる方が藻から脱出しやすい。3時納竿。私は40センチ未満のチヌを10匹釣り上げた。始めて瀬戸内海の海を経験する同行の飯塚君も徐々にイメージをつかんで3匹のチヌを釣り上げた。釣り大会は1匹長寸で行われ、なんと私たちに同行して飛び入り参加した八束郡宍道町の山木泰君が47センチのチヌを釣り上げ優勝した。
 大会の総評では大知豊さんが会員に、仕掛け、撒き餌、流し方、時合いのとらえ方、やりとりに至るまで当日の状況に合わせたアドバイスを送った。内容は的確で分かりやすい。会員たちも何とか大知さんの技術を盗もうと真剣そのものだ。私もおおいに参考になった。6月下旬に行われるG杯チヌ中国予選の良いイメージづくりの材料が出来た。
 チームアクアの大会には今回初めて参加させていただいたが、大会運営は手際よく大知さんや役員の方々のリーダーシップはすばらしかった。釣り技術だけではなく、マナーの向上を指導し、人と人とのつながりを大切している。釣りの収穫以上に釣りクラブのあり方や運営などについても勉強になった。時化の巧妙で思わぬ収穫があり実のある1日であった。

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