小島一文の
“G1フィッシング”

G1フィッシング

たっちゃん仕掛けに

対応したG1タルカゴ誕生! ~ 島根県浜田・伊勢島のヒラマサ釣り ~

 うっとうしい梅雨が明けて強い日差しが照りつける夏のシーズンがやってきた。こうなると昼間の磯は灼熱地獄。磯釣り師たちには過酷なシーズンだ。しかし私はこの過酷なシーズンでもひたすら上物オンリーで磯を目指す。このシーズンはチヌやグレの競技大会も無く、比較的のんびり竿を出せプライベートで釣行出来るシーズンでもある。
 この時期の上物のメインターゲットといえばやはりヒラマサだろうか。私はこのヒラマサ釣りが大好きである。何せ本格的に釣りを始めるきっかけとなったのがこのヒラマサの強力な引きに魅せられたからである。また、釣りのトーナメントに興味を示すきっかけを作ってくれた師匠の竹下努氏(大田市)との出合いも、日御碕の「トモ島」へヒラマサ釣りに出かけた折りのことである。

今のタルカゴではイメージ通りいかなくなった

 私のヒラマサ狙いのタックルは、桜江町にある釣具店「つりたつ」の店主である横田達夫さんが考案した「たっちゃん仕掛け」がメインである。この仕掛けについては、本誌’97年10月号のG1フィッシング。同年12月号では、この仕掛けの名付け親である玉木保光さんが特集として紹介しているので参考にしていただきたい。
 私は前述の10月号で、「たっちゃん仕掛けは、出雲地方独特の三点仕掛けのメリットを残しつつ三点仕掛けが持っているデメリット部分を補った画期的な仕掛けである」と書いている。しかしこの仕掛けでもう一つだけどうしても気になる点があった。それは仕掛けというよりはタルカゴ自体に欠点があったのである。それは、撒き餌のエサがタルカゴから出ないことがあるのだ。タルカゴを使用した釣人ならだれもが何度か経験しているだろうと思う。タルカゴのエサが残っていると仕掛けを巻き取るときに水圧を受けて大変重たくなる。そればかりか撒き餌が出てないことで、せっかくの撒き餌効果が皆無であることに腹立たしさを感ずるものである。特にヒラマサ釣りでは一瞬にしてパーと撒き餌が出ることが重要なのだ。
 もう一つたっちゃん仕掛けでは、水中ウキを併用する場合投入時に支点が2点になることから、いくらたっちゃん仕掛けといえども風向きによっては着水寸前に道糸にブレーキをかけてやり、ライントラブルを事前に回避してやらなければならない。こうするとタルカゴの胴の部分が着水することになり、ますます中のオキアミが出にくい状況となる。

G1タルかごの特徴

 そこで、この度たくさんの釣り人の意見を集約して登場したのが「G1タルかご」である。このタルカゴの特徴は、

  1. 撒き餌のオキアミが瞬時に100パーセント出せる。
  2. 回収時の抵抗が少なく軽い巻き上げが出来る。
  3. おもりでバランスをとっているので視認性がよく潮乗りがよい。
  4. カラーに蛍光レモンを入れているのでマヅメなどに視認性がよい。
  5. 飛ぶ方向におもりがセットしてあるので投入時のバランスがよく遠投が可能である。
  6. 仕掛けがなじんだ後に自分の操作で撒き餌を出すことが出来る。

 この原理はすでにカゴ釣りの名手高羽一彦さん(浜田市)考案の「高羽反転タルカゴ」として知られているが、G1タルかごはその改良版といってもよいだろう。原理は全く同じであるが、反転というよりウキ自体が着水した状態でそのまま自立するのでスライド式といった方が分かりやすいと思う。
 このG1タルかごの登場で私がイメージするところの「たっちゃん仕掛け」は、ほぼ完成に近づいた。さらには、タルカゴのおもりを重たくしていき残存浮力を小さくしてタルカゴの沈め釣りやスルスル釣りなどもイメージ展開している。ウキ止めを付けるか付けないか、そのタナとり。水中ウキを付けるか付けないか、また、その号数や形状など、後は仕掛けの応用と釣り方のテクニック次第である。

G1タルかごデビュー戦

 浜田地方でヒラマサが好調というニュースが入ってきた。G1タルかごを試す絶好のチャンスだ。7月20日、海の日、私が所属するG1トーナメントクラブのメンバーとその釣友たち17人で「伊勢島」に渡礁した。
 午前1時に渡礁したので夜明けまでには時間があるが、仲間たちとの釣り談義でアッという間に朝マヅメを迎えた。期待した朝マヅメはこれといったアタリが無く期待はずれに終わったが、午前7時、「小伊勢」にいたメンバーに最初のアタリがあり50センチのヒラマサを取り込んだ。午前9時、今度は「大伊勢」でヒット。たるんでいた潮が「馬島」方向に通りだした途端アタリが出始めた。それから午前11時30分の納竿まで、「小伊勢」と「大伊勢」で競うようにアタリがあり全員で20本のヒラマサを釣り上げた。
 メンバーたちのG1タルかごの評判は上々のようである。今の時期餌取りが多いので投入してわずか数秒で手返ししなければならないことも多いが、確実に撒き餌が出ているので手返すリズムがよい。自分の操作で撒き餌が出せるので刺し餌と同調させやすいという利点がある。こうしてG1タルかごはデビュー戦を飾ったのである。

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