小島一文の
“G1フィッシング”

G1フィッシング

エサ取りのコッパグレをかわし、良型グレを狙う

島根半島魚瀬

やっとの思いで釣行

 梅雨グレシーズンに入って各地からグレの釣果が聞かれるようになった。こうなってくると、もう、いてもたってもいられなくなるのがグレ釣り師の性。忙しい日程をなんとかやりくりしてようやく釣行までこぎつけた。
 釣行日は6月13日、日曜日というのになかなか休ませてはくれないのだが、この日は宍道湖周辺自治体の一斉クリーン作戦があり、早朝から清掃活動に参加した。しかし、この行事も日ごろ自然の恵みを得て楽しんでいる私たちにとっては、重要なつとめの一つであり、一生懸命取り組んだ。宍道湖沿岸の2市3町がこの日1日で回収したゴミの量は約30トン。どこから流れてくるものやらプラスチック類や発泡スチロール類が非常に多かった。また、ひどいのはわざわざ運び込んで投棄したとしか思えない自転車や電気製品などの粗大ゴミ、空き缶やビンが大量に入った袋などモラルの低下には驚かされる。そして私が一番悲しく思うのは、釣り人が捨てたと思われるエサの空き袋や仕掛けの残がいである。私たち釣り人は、自然の恩恵を得てそれを楽しみとしていることをいつも心にとめ、自然やお魚さんに感謝しなければならない。釣り人は、環境保全に関しては地域のリーダーであってほしい。

ホームグランドの魚瀬へ直行

 さて、今回の釣行場所は、私のホームグランド中のホームグランド松江市魚瀬町である。港に着いたのは午前10時。カブ島では早朝から同じクラブのメンバーである宮崎光夫さん(飯石郡三刀屋町)と飯塚宏行さん(簸川郡大社町)が竿を出していた。島の東端から沖向きに仕掛けを流していた2人に状況を訪ねると、今ひとつパッとせず、コッパグレのアタリは多いものの25センチを超えるようなキープサイズはなかなか釣れないとのこと。私も1時間ほど一緒に竿を出した後、午前11時に「沖ちぢれ岩」が空くというので入れ替わりに磯替わりすることにした。
 「沖ちぢれ岩」は魚瀬から渡船出来る範囲の最も西側に位置する。小さな岩がいくつか寄り添うかたちの島だが、島と言うよりはまさに瀬。低いうえに足場が悪い。よほどの凪の日でないと渡礁出来ないが、それが今でも魚影の濃さを保っている要因だろう。魚瀬の中では超1級磯であることに間違いない。この日はラッキーなことにベタ凪状態。しかも先客がありながら入れ替わりで渡礁出来るというダブルラッキーに恵まれた。
 ポイント図を参照していただきたい。通常船付けは一番高さが高い沖側西端の島Aである。定員は2人。しかしこの日のようにベタ凪状態であれば、B、C、D、のポイントでも竿が出せる。AからCは移動可能であるが、A、B間は約1mほど離れているのでジャンプして飛び乗ることになる。よほど体力に自信がある人以外は危険なので直接船を付けてもらうのが無難である。
 午後から石橋淳一さん(出雲市)が合流して、宮崎さんがA、飯塚さんがB、石橋さんと私がCから竿を出した。潮は沖に向かって左から右にかなり速い。Cは淀みとなって左右にひかれる程度。私は過去に何度も「沖ちぢれ岩」へ渡礁しているが、A・Bのポイントでこの潮の時にはあまりいい釣果に恵まれた経験がない。やはりこの日もA・Bの沖向きは全くアタリらしいアタリがない。手前は餌取りのスズメダイに悩まされ、遠投してタナを入れても今度は付け餌が着いたままなんの反応もない状態が続いた。
 一方Cは石橋さんが3ヒロ完全フカセの仕掛けで23センチから25センチのグレをポツリポツリ釣り上げた。午後3時、東方向に流れていた潮が次第に緩くなり、沖から灘に向けて突っ込んでくるようになった。Aの宮崎さんはその潮の変化に対応して狙いを沖向きから「地合」の港向きに変えて、大きく竿を曲げた。タモ入れして取り込んだのは32センチのグレ。続けざまにもう1匹、30センチ級を取り込んだ。やはり過去の実績通り西向きのポイントがよいようである。宮崎さんの釣果で、飯塚さんはAに移動。私もDに移動した。すると飯塚さんと私にも同型のグレが喰いついてきた。

最近の傾向・グレは上下運動せずに左右の動きが多い

 釣り方は、手前に撒き餌を打って餌取りを集めておく。この撒き餌は潮の流れによってグレにも利く。仕掛けは、撒き餌が利いていない沖合約20メートル付近に遠投し、手前にジワジワ引き戻す感じでなじませた。3人の仕掛けの共通点は、ハリスに一切ガン玉を打たない完全ふかせで、ウキ止めを付けないスルスル仕掛けに設定してある。ハリスの部分がなじんでしばらくアタリがない場合は、道糸を緩めてさらに深いタナを探っていった。良型のグレは、3ヒロから4ヒロくらいで喰ってくるイメージであった。しかし、釣れると言ってもアタリが出る間隔は長くポツリポツリと言った感じ。グレの活性は非常に低いようだ。アタリは渋く、3ヒロ以上は浮いてくる気配がない。撒き餌の行方をよく観察していると、ちらちら小グレが姿を見せるが、グレ特有の上下運動する様子はない。むしろ一定のタナを横の動きをしながら、エサが落ちてくるのを待っている感じである。このことは、私がトーナメントなどでよく釣行する四国の磯などでも感じることであるが、連日エサが入る磯では、グレが上下運動して乱舞するという光景はほとんど見られなくなった。最近の傾向としては、縦の動きよりも横の動きをすることが多いように思う。しかもやっかいなことに横の動きをしながら短時間に棚を変えることが多い。このような状況で釣りこなす方法として前述したように、軽い仕掛けで一定のタナの幅を出し入れ出し入れして、グレの喰う点を探り当てるようなイメージの釣りがよいようである。もう一つ意識したのは、付け餌が餌取りにとられるか取られないかの境目を早く探し当てることである。手前過ぎると餌取りにやれれてグレのタナまで付け餌がもたないし、また、沖過ぎると撒きエサが利いていないのでなんのアタリもないという状況であった。
 そしてグレ釣りでよくいわれる仕掛けの張りについてであるが、このときは潮の流れが緩く、ポイントとなるところがよどんでいたこともあり、軽い仕掛け設定でウキに任せるような感じで張らず緩めずの状態がよいようであった。特に活性の弱いグレに対しては竿先で道糸をピーンと張った強い張りではグレが喰いついたときに付け餌を離すことが多い。張らず緩めずと言うのは感覚的な表現で分かりにくいが、私の場合は、図のように道糸を多めに出し、竿先を立てて空気中や海中に漂う道糸の抵抗力を利用して張りを作るようにしている。いわゆるあそびの部分を作っておくことで、後は竿の角度や操作でテンションをかけたり送り込んだり自由自在である。多少の風は空気中の道糸量の調整でほど良い張りを作るのに利用する。少し訓練をすればウキ止めなしのスルスル仕掛けを、ハリスの長さだけをキープして流し込んだり、さらに深いタナへ送り込んだり出来るようになる。どこまでタナが入ったか分からないという人は、道糸にアユ釣り用の目印糸を付けると目安になる。以上の釣り方は、コッパグレをかわし沖目や深棚に潜んでいる良型グレを狙うのにも効果的であるのでぜひ試してみてほしい。

このページのトップへ