浮力を落した管付きウキを使いあらゆる棚を攻める
GFGグレ(青海島)
10月12日GFG中国・グレ釣り大会が山口県青海島で開催され私も参加した。
ここ青海島は、毎年G杯グレの西中国大会が行われる会場である。GFGの大会は、このG杯予選大会にあわせて前日の日曜日に開催するのがここ数年のパターンである。私も毎年この大会出場のためここへ訪れている。私たちのような他の地域の釣り人にとっては、G杯の予選の前に下見を兼ねて釣行できるのでありがたい。海の状況、エサ取りの種類やグレの活性、その他いろいろな情報がキャッチできるからである。その情報を基に撒き餌の配合や量、仕掛け、ウキ下、流すポイントなど攻め方の的が絞り込めるのである。
今年はこのGFG大会も、親ぼくだけではなく全国大会の予選を兼ねている。
中国5県から参加した100人あまりの選手が次々に抽選を済ませ、船に乗り込んだ。私は、よく一緒に釣行する顔見知りの八束郡玉湯町の植田光孝君と大島の「馬の鞍の丘」という磯にあがった。この日は前日からの時化が残り西よりの大きなうねりが打ち寄せ、青海島付近西側の一級ポイントは近寄ることもできない状況だった。そして夜明けとともに西風が強くなり強風波浪注意報が発令になったため、結果的には納竿予定午後1時を早めて午前11時に撤収となった。
さて、青海島周辺は小型ながらグレの魚影の濃さでは山陰海岸ナンバーワンとして知られているが、この日はちょっと様子が違っていた。いつもなら磯際に撒き餌を打つとワーッとアジやスズメダイ、木っ端グレなどが群れて、やがて手のひらサイズのグレが姿を見せだす。この手のひらサイズのグレなら入れ食いになることも多い。
うねりが高いので、二人並んで高いところに足場を取り、図のような仕掛けを2ヒロ半に設定して足下を流してみた。最初はエサ取りを寄せたくないので、オキアミ生を粒のままパラパラ撒きで攻めるが、エサがついたまま反応なし。すぐに集魚剤入りの撒き餌を打つが、それでも付けエサはついたままで反応がなかった。撒き餌の行方をしばらく追ってみるが肉眼で確認できるような魚の気配がない。私は、ここ7年間、毎年この時期に青海島釣行しているが、こんな状況は初めてである。当日渡った大島周りは、周辺の青海島や鯖島よりもグレの魚影が少ないことは確かであるが、これほどまでに魚の気配がないのには驚いた。
作戦変更
エサ取りもいないので足下から撒き餌を入れ、サラシを利用して仕掛けを馴染ます。棚を変えながらしばらく続けていると、隣の植田君にアタリがあった。竿が大きな弧を描いて鋭い締め込みを見せたが、正体は30センチを越えるバリの仕業であった。それにしてもバリの引きは強い。やり取りの練習にはよい相手だ。
やがて私の仕掛けにも同じようにバリが食いついてきた。しばらくしてもグレの気配を感じないので、作戦を変更することにした。
風は強い西風が島と島との水道を抜ける。釣り座から見て右から左に吹いている。その強風で波も右から左に流れているが、潮は逆に左から右方向に流れていた。釣り座左側から大きく延びるサラシの泡が水道中央付近に潮目となって漂っている。「よしそこだ!」とばかりに遠投して水道の潮目を狙うことにした。
まず撒き餌は、左のサラシに撒いていったん沖に出してから大きく回してその潮目に流し込むイメージで撒いた。仕掛けはというと、風や波で大きく左側に流されることを想定して、全然反対方向の右沖に大きく遠投した。
釣り座が高いので最初は道糸が風で膨らんで、仕掛けが大きく風下に戻される。なるべく風の影響を少なくするため姿勢を低くして竿先を海面近くに突き刺すように構えた。
仕掛けはウキから下の部分を1ヒロ半に設定し、ハリ上50センチの所に仁丹5号を噛み付けた。ウキは竹下ウキ。浮力を仁丹2号くらいのものをセットし、ウキ止めは付けずにフリーにした。この設定は仕掛けが馴染んで潮目に入ると道糸の操作しだいでゆっくりウキごと沈んで行くイメージにしてある。この場面では風と仕掛けが逆で喧嘩しているので、そのポイントに入れば何もしなくても自然に沈んでいくのである。
ここでもう一度、どうしてこのような仕掛け設定をイメージしたのか整理してみよう。
- 横風が強くイメージした位置(平面的)、イメージした棚(断面的)に仕掛けを馴染ませるにはそれなりの重たい仕掛けが必要になる。
- しかしハリスの部分にはあまり大きなガンダマは使いたくない。
- ウキも大きいと感度が悪いし、浮力が大きすぎると風や波に流されやすい。
- サラシが大きく、いたる所にできているし、風と波が逆方向なので撒き餌と仕掛けを あわせにくい。
- すなわち広い範囲、広い棚を探りたい。
仕掛けの特徴とメリットは
この仕掛けの一番の特徴は、浮力を落とした管付きウキを使うところにある。浮力を落とした管付きウキは、ゆっくり引っ張ると沈んでいく特徴がある。その特徴を利用して、道糸の操作ひとつであらゆる棚を積極的に攻めていけるのである。また、この特徴を利用すれば、今回のような横風が強いときにウキから下のハリスの部分を軽くしていても、潮目のポイントから外れにくいし、イメージした棚に仕掛けを送り込めるのである。
この管付きウキの沈め釣りについては、円錐ウキの原理と全く異なり、まだまだいろいろな応用があり、まだまだたくさんの可能性を秘めていると私は考えている。
潮目に入ったウキのトップが、水面を切って沈みはじめたところで、一瞬早くスーッとウキが入っていった。糸ふけを考えて、いつもより大きく竿を立てると魚がのってきた。ピョンと飛ぶようにあがってきたのは、22センチほどの手のひらサイズのグレであった。しかし狙い通りの待望のグレである。このあと同じようにして2匹の同サイズのグレを取り込んだ。結局グレはとうとうこの場所では、この3匹のみの釣果で終わった。
その代わりといっては何だが、その後、30センチから40センチ近くはあろうかという良型のバリがよく釣れた。買ったばかりのスーパーインテッサ1.5号5.0mの手応えを確かめるには十分楽しめた。
GFGの大会は釣ったグレの5匹の総重量で競われた。私は釣った3匹を検量に出したが、全然問題外である。良型ばかりをそろえて5匹で3キロ以上釣った人がいれば、数も20匹以上釣った人がいた。場所によってはアジのエサ取りに悩まされてボウズだった人もあったようだ。水温の急激な低下や時化で場所が限られていたこともあるが、わずかな場所の違いでこれほどまでに海の状況、魚の状況が違うのであるから、われわれ釣り人もたいへんである。しかし、だからこそ奥が深く、また、限りない挑戦が始まるのである。
私は、翌日のG杯西中国大会には仕事の都合でエントリーできず、釣友たちを激励して帰路に就いた。
GFG杯予選・各県代表選手決定
島根県代表者
各県の代表者は中国決勝大会(場所や日程は未定)を行い、上位3名が来年度のGFG杯グレ釣り大会の出場権を得る。
1位 塩谷尚弘 益田市 2.46キロ
2位 樋口道治 松江市 1.78
3位 末松 徹 松江市 1.48
4位 安部政吉 八雲村 1.41
5位 佐藤保男 大田市 1.22
6位 林 能伸 大田市 1.22
(敬称略:5匹重量)