小島一文の
“G1フィッシング”

G1フィッシング

青海島を攻略してG杯を狙え

G杯予選。優勝!山口県青海島

 山陰地方の秋磯は、例年になく好調だ。その要因として、対馬暖流の流入経路にあるのだろうか、山陰の磯では珍しいイシガキダイやニザダイ、ウスバハギなどが釣れたという情報が入っている。ヒラマサの回遊にしてもそうだろう。浜田や日御碕の一部、隠岐の島に多い魚影は、今年の場合、島根半島や鳥取地方の地周りの磯にまでおよぶ。ヒラマサだけではなく、マダイやグレなども好調だ。
 そんな中、10月4日、5日、山口県の青海島へ出かけてきた。4日はGFG中国島根支部のグレ釣り大会、5日はG杯グレ西中国大会に出場するためである。毎年10月中旬から下旬に開かれるこの大会であるが、今年は初旬の開催ということでグレの喰いはどうか、餌取りは何がいるんだろうかと、何かと不安材料が多い。だからG杯予選の前日に親ぼくを一番の目的とするGFGの大会があることは、次の日の下見ができてありがたい。
 しかし、1日釣りをして、1カ所か2カ所の磯を釣ったからといって、すべての不安材料が解消されるわけではない。一口に、青海島といっても東西にかなり広いエリアを会場として使用することになる。私の場合は、図のように青海島周辺の各ポイントを大まかに五つのエリアに分けている。そしてこのエリアにはそれぞれ特徴があって、各エリアに応じた作戦を組み立てるようにしている。大会の会場となるポイントの状況や癖を知ることが、その大会で上位入賞する鍵を握っているからである。

 これからあげるエリアごとの解説は、過去の経験を基に10月頃の状況を私なりにまとめたものである。地元の釣り師から見れば必ずしも的確ではないかもしれないが、これからG杯を目指す人たちの参考になればと思う。

Aエリア
 鯖島は、北向きのポイントで良型がでる。数はあまり期待できない。朝マズメに手返しを速くして良型を稼ぐ。昼間は遠投ねらいで良型。南向きは極端に魚影が薄い。島全体でチヌの大型がでる。鯖島の西側に2つのハナレ磯があるが、以外と魚影は薄いようだ。このエリアは今年はうねりが高く使用しなかった。

Bエリア
 大島周辺は、小さなハナレ磯が多く好ポイントのように見えるが、ここも以外と魚影が薄く小型が多い。青海島との水道向きの磯が一番釣果がいいようだ。また、この水道の中間あたりに位置する女瀬は別格。魚影が濃く型もよい。今年は、G杯予選2回戦で大瀬に渡礁。規定サイズに満たない20センチ未満のコッパグレが多くて手こずった。わずか数ミリ規定よりオーバーするグレで、3匹対2匹で辛くも勝利した。ほかの組の釣果もよくなかった。今年は少なかったが、例年、小アジの多いエリアである。

Cエリア
 このエリアは年によってムラが大きい。電柱周辺は魚影が薄く小型が多いが周辺では松島が一番良いだろう。ここへ渡礁すれば規定サイズのグレが2時間で15匹揃えられそうだ。潮場周辺まで出ると潮の通りもよくなり魚影が濃くなる。ハナレ磯は魚影が濃いが良型は少ない。むしろ地磯周りの方が良型が望める。ここでは数多く釣れるグレの内、いかにして良型サイズを揃えるかが勝負の鍵を握るだろう。
 エリア西端の十六羅漢周辺はハナレ磯の群島になていていかにも良さそうだが、魚影が薄いように思う。この周辺では釣果が伸びず苦戦することが多い。今年はG杯予選1回戦でこのエリアのOOへ渡礁。沖側はうねりが強く地向きに竿を出した。28センチのグレ1匹対0で勝ちを拾ったが、周辺の磯も釣果が少なかった。他魚としてはアイゴの35~40センチ、チヌの40センチの釣果があった。例年、フグが非常に多いエリアでもある。

Dエリア
 大門、小門は、周辺では1級だろう。魚影は抜群に濃い。ここでもハナレ磯より数は落ちるが地磯周りに良型が多い。朝マズメには磯際で30センチオーバーが喰ってくるので油断は禁物。太仕掛けで確実に取り込むことが勝敗を分ける。
 大平場も魚影は濃い。しかし、小型が多くコッパグレの下にいるやや型のよいグレを揃えることが勝利につながる。大平場は地向との水道で良型があたることもある。観音瀬、平家台周辺は、型、数共に期待してよいだろう。それだけに最初の場所取りや手返しの早さ、ちょっとしたミスが勝敗を分ける。今年のGFGで観音瀬ウラの奥の地磯に渡礁。朝マズメに同行者と2人で30センチ前後を10匹ほどキープした。20センチ前後は湧いていた。このとき観音瀬でも他の釣り人に良型のグレやチヌの釣果があった。ウキ下は2.5ヒロ前後。

Eエリア
 竹の子周辺は青海島で超一級磯にランクされ地元の釣り師の人気も高い。魚影は抜群に濃いうえ良型の数が揃う。良く釣れるだけに、最初の場所取り、潮読み、ポイントの絞り込みが勝敗を分ける。条件が揃えば35センチ~40センチの尾長グレが回遊するので細ハリスを飛ばされることもある。赤瀬から湾内は極端に魚影が薄くなる。今年のG杯予選ではうねりが高く沖に出られなかったため、この周辺を使用したが、釣果は悲惨なものだった。

 今回の釣行で私が磯上がりしたのは、図の通りである。やはりエリアによって釣果にばらつきがあり、グレの数、型、他魚の釣果など格段の差がでた。それは別の船で出港したほかの釣り人の釣果を見てもいえることである。しかも、釣りの難しさをつくづく感じたのは、Eエリアの「竹の子鼻」での釣果である。4日、GFGの磯替わりでこの竹の子鼻へ渡礁し、午前10時頃から正午頃まで竿を出した。私の予想とは裏腹にグレの魚影は薄くほとんど釣果がなかった。餌取りやコッパグレの姿すらない。ところがどうだろう、日が変わって翌日の5日、G杯予選の3回戦で、また竹の子鼻へ渡礁した。時間は、午後2時半から4時半の2時間。このときは、2組4人が渡礁し、私たちは地磯向きに釣り座をとって釣りはじめたところ、30センチ級のグレがおもしろいように喰ってきた。沖向きに釣り座をとったもう一組も同型のグレを2人で十数匹釣っていた。いくら同じエリア、同じ磯であっても、潮や風、時間帯などで、これほどまでに釣果に差がでるのであるから自然とは本当に不思議なものである。G杯予選は、1回戦、2回戦をもがき苦しんでやっとの思いで勝ち進み、3回戦で38センチの尾長グレ2匹を含む9匹の良型を釣り上げ、西中国を優勝で勝ち進んだ。

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