小島一文の
“G1フィッシング”

G1フィッシング

ヒラマサ釣りを実践のなかで

イメージ、研究する… ~ 島根県大社とも島でヒラマサ爆釣 ~

山陰地方は梅雨明け宣言があったものの、盆を過ぎてもうっとうしい天気が続き、とうとう夏を感じないまま秋のシーズンを迎えようとしている。
 しかし磯の方は例年になく活気があった。日御碕のトモ島では久々にヒラマサフィーバーに沸いて、連日たくさんの釣り人が押し寄せている。私も8月上旬には釣行する度に50センチ級のヒラマサを二桁釣りした。

  良いときは夜明けと共にフィーバーが始まる。1投目からアタリがあると2連チャン、3連チャンと連チャンで喰ってくることも珍しくない。だれがどこへ投げても釣れるような気がするものだ。アタリがあると大きくアワセを入れて大きくポンピングし、強引に引き寄せる光景が島全体で見られる。カツオの一本釣りのように磯に放り投げて取り込み完了。ダイナミックな釣りである。しかし、一見、豪快でダイナミックな釣りに見えるヒラマサ釣りは以外と繊細できめ細かな部分があるのだ。朝マズメのフィーバーが終わって日が高く上り、アタリが渋くなりはじめた頃からがおもしろい。これからは釣り方次第で釣果に大きく差が出始める。

 今年のように群が大きくたくさんアタリがある時こそ、ヒラマサの意外な習性を知ることが出来、仕掛け、釣り方などいろいろ試してみるチャンスである。ただたくさん釣れるからと言ってひたすら釣りまくるだけではなく、なぜ釣れるのか、なぜ釣れないのか実践の中でイメージし検証してみよう。

検証1:ヒラマサはエサ盗り名人

 喰ったら一気に沖へ走って竿ごとひったくっていくようなアタリばかりではない。喰い渋るようになると小さな発砲のアタリウキをピクリともさせずに付け餌をかすめ盗っていくのである。最初はただのエサ取りの仕業だと思いがちだが、ヒラマサの大群が背ビレを見せてウキの周りをうろうろしている状況でこのようなことが何度もあった。このようなときは常に小さな誘いをかけてやると効果がある。

検証2:ハリはずれが多い

 検証1でも分かるようにヒラマサはなめるように付け餌を喰うという表現がぴったりだ。ハリも飲まれることが少ない。まずはアワセのタイミング。大きくあわせる必要はないが向こう向きに走り出したところをカチッと合わせる。ウキの反応で魚の向きが分かるように研究すること。魚の頭から尾の方向へ引くようにあわせる。ハリはひねりが入っているものがはずれにくい。チヌ針の6号をよく使っている。取り込みはポンピングが大きすぎると糸にたるみが出来てバラシの原因になる。竿の弾力を十分に使って寄せることが望ましい。

検証3:撒き餌と同調しないと・・・

 喰い渋ったヒラマサは付け餌とタルかごの撒き餌が同調しないとなかなか喰っては来ない。周辺にはたくさんのヒラマサがいるのに喰ってこない。横風が強いと仕掛けが風で流されて撒き餌と同調しないことから極端に釣果が落ちることでも分かる。「同調」に関してはグレやチヌ釣りと同様、むしろそれ以上神経を使わなければならない。「G1タルかご」を使用すれば釣り人の操作で撒き餌を出すことが出来るので、付け餌と同調させやすい。使いこなせばその差は歴然である。

検証4:付け餌がついていますか?

 この時期のヒラマサ釣りは勝負が速い。餌盗りも多いのでほんの一瞬が勝負なのである。しかし見ていると完全に付け餌がついていないと思われる仕掛けを、いつまでも流し続けている釣り人をよく見かける。混雑する釣り場では手返すリズムを早くしトラブルを未然に防ぐことも必要。付け餌がついていても撒き餌と同調しなくなったら、手返した方が次にヒットする確率が高い。

検証5:チヌ用の撒き餌に効果あり

 ヒラマサ釣りの撒き餌、付け餌はオキアミボイルを使用するが、タルかごに入れる撒き餌のボイルにマルキューの「ムギコーン」を混ぜて餌盗り対策に効果があった。余っていたものをたまたま使ってみたところ視覚的な「寄せ」の効果もあるようだ。タルに詰める際もタルの中の締まりがよく遠投が効く。

 このような検証は今年のトモ島のように大きな群が接岸したときでないと出来るものではない。それは投げかけた疑問がすぐ答えとなって帰ってくるからである。1投1投、毎回毎回を意識して釣ってみるとたくさんのことを学ぶことが出来るのである。こうした積み重ねの中でたくさんのイメージを膨らませ次の釣行に結びつけていくのである。
 今、私が愛用している「G1タルかご」なども、どうしたら60,70メートル沖で撒き餌と付け餌を同調させられるだろうかとイメージした結果生まれたアイデアである。

 そして今回の検証は「トモ島」での釣りイメージであるが、今度はこれを基にほかのポイントでも展開してみよう。例えば、付け餌がずっと残っているようなら水中ウキをつけて棚を探ってみるとか。足下から手巻きの撒き餌に仕掛けを同調させてみるとか。混雑した釣り場では十分に出来なかったことを試してみるのである。
 浜田や御崎のヒラマサを追って思うことは、ヒラマサが喰うか喰わないかは、時間にしてほんの数秒、長さにしてほんの数ミリのズレで釣れるか釣れないかの結果が出てしまうのではないか。釣りは1投1投が勝負である。勝ち負けもはっきりしている。勝っても負けてもまたすぐに次の勝負が待っている。何度も何度もこの繰り返しがスリルと感動を呼ぶ。釣りというのは、なんともたまらなくおもしろいものである。

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